理論的に言えば、「名詞を説明する語句」を形容詞の定義とするならば、"Something happened."の"happened"などは、明らかに"something"という名詞を説明してい るため、この英文法では「動詞」と呼ばれている語も形容詞と呼ばなければなりません。動詞を形容詞として捉えることによってより高い論理的整合性をもった英文の構造に対する洞察が得られるのですが、このことに関してはは別の場所で詳しく述べる予定です。ここでは次の6種類の形容詞について説明します。
| 形容詞の種類 | 例 |
|---|---|
| 通常の形容詞 (a) | "happy", "expensive", "tall" |
| 通常の形容詞 (b) | "around", "on", "up","home" |
| 前置詞+名詞 | "in the kitchen","at school", "on the road" |
| 現在分詞 | "running", "working", "interesting" |
| 過去分詞 | "satisfied","gone","interested" |
| 形容詞節 | "as I look", "the way I look", |
ここでの定義によれば、形容詞とは名詞を説明する語句ですが、説明の仕方には「修飾用法」と「非修飾用法(叙述用法)」の2種類に大別することができます。
| 修飾用法 | S+V+C | S+V+O+C | |
| 通常の形容詞(a) | happyman | She lookshappy | It makes me happy |
| 通常の形容詞(b) | the only thing around | Is anybody around? | Nice to have you around |
| 前置詞 + 名詞 | a cat in the kitchen | A cat is in the kitchen. | You find a cat in the kitchen. |
| 現在分詞 | working people | People are working. | We have people working here. |
| 過去分詞 | interested group | They all look interested | How do we get them interested? |
| 形容詞節 | the president as we know he is | He is not as we knew he was. | I don't find him as I knew he was |
"happy", "small", "ready"などのように、辞書に形容詞として記載されているもの を「通常の形容詞(a)」と呼ぶことにします。多くの英語の先生方はここに紹介した6種類の形容詞のうちで、この形容詞だけを形容詞として認めています。その理由は単純で、「辞書に形容詞と記載されているから。」です。重要なことは、次に説明する5種類の形容詞をはじめ、その他の語句もこの「通常の形容詞(a)」と機能的に同じであるというこ とを認めるということです。
| It's nice to have you around. He is up at seven. |
S+V+C文型、S+V+O+C 文型で使われる限りこの形容詞は「通常の形容詞 (a)」と全く 変わらないのですが、修飾用法の場合、この形容詞はどのようなことがあっても名詞の前に置かれないという点で、「通常の形容詞(a)」とは異なっています。
例1)
次の S+V+C 文型の文を見てください。
| ”〜という状態です。" | ”〜という状態になる" | "〜という 状態が続く" |
|---|---|---|
| I am busy. | I get busy. | I keep busy. |
| He is around. | He comes around | He sticks around. |
| The TV is on. | The TV comes on. | The TV remains on. |
| He is home. | He gets home. | He stays home. |
| He is up at sick. | He gets up at six. | He stays up all night. |
この形容詞に関して、本書と学校文法と間には次のような大きな違いがあります。
| 学校文法 | 本書 | |
|---|---|---|
| She is in the kitchem. | S+V M=in the kitchen 「台所に」 | S+V+C C=in the kitchen 「台所にいる」 |
| You put it on the desk. | S+V+O M= on the desk 「机に上に」 | S+V+O+C C= "on the desk" 「机の上に置く」 |
| 英語 | 日本語 |
|---|---|
| You put it on the desk. | あなたは机の上にそれを置く。 |
| You | = あなたは |
| put | = 置く |
| it | = それを |
| on | = 机の上に |
| 英語 | 日本語 |
|---|---|
| You put it on the desk. | あなたはプッとそれを机の上に置く。 |
| You | = あなたは |
| put | = プッと |
| it | = それを |
| on the desk | = 机の上に置いてある状態にする |
| Let's get going. |
現在分詞はまだ動作が完了していない状態(進行の意味)を表す形容詞と、進行の意 味を表さない(受身の過去分詞と反対の意味をもつ)形容詞とが存在します。次の表にこのことを示しておきます
| 進行の意味を持つ現在分詞 | 進行の意味を持たない現在分詞 | |
|---|---|---|
| 修飾用法 | working people sleeping baby | exciting news boring lesson |
| S+V+C | He is working. Let's get going. | The book is interesting. He is shocking. |
| S+V+O+C | I see the car coming. You have your birthday coming soon. | I find this book interesting. I find him shocking. |
| これは、"〜ing"は "verb"ではなく形容詞であるという英文法という分野における表記法であり、決して "be"を使いなさいという意味ではありません。受動態の場合も "be + p.p." と表記されていますが、"be"を使わなければならないという意味ではなく、p.p.(過去分詞)は形容詞として使われるという意味です。"a book" と表記されているのを見て、「"book" の場合は必ず "a" を付けるのだ。」と思い込んでしまうのと同じ間違いです。英語の勉強はどれだけ真似ができるかが勝負ですが、ここまで真似をする必要はありません。 |
| 「be + 現在分詞」の文は確かに進行形ですが、上で説明したように、進行形は 「be +〜 ing」ではありません。「日本人は人間である。」が正しいからといって、その逆の「人間は日本人である。」という文が正しいことは自動的に保証されないのです。言葉の専門家ともあろうものが、この全く意味の異なる文の区別をつけることができないらしいのです。本書では「進行形とは be+〜ingである」ということを否定しているのであって、「be + 〜ing は進行形である」ということを否定しているのではありません。ただ、他にも進行形がありますよと警告しているだけです。 |
| I am finished. I'll be gone. Get it done by tommorrow. I want it checked. I heard it said that he would join us. |
過去分詞はある物(者)がある動作が完了したときの状態を表す形容詞です。
例えば、"finish"という動作を完了した状態を表す形容詞は "finished"であり, "go"と いう動作が起った後の状態を表す形容詞は "gone"ということです。"marry"すれば"married"な状態になるのです。そして、このような形容詞は、他の形容詞と全く同じように、 修飾用法や非修飾用法で使われるのです。
| finish | go | marry | |
|---|---|---|---|
| 修飾用法 | finished job | days gone | married man |
| S+V+Cの主格補語 | I am finished. I got finished. | He is gone. I'll be gone. | She got married. She looks married. |
| S+V+O+Cの目的格補語 | I found him gone. I want him gone. | I don't want to see her married. |
| 当たり前のこと | 不思議なこと |
|---|---|
| イギリス人は英語を話す | アメリカ人が英語を話す |
| "Is this ...?"の答えは"Yes,this is..."である | "Is this ...?"の 答えは "Yes,it is ..."である |
| "do it"は名詞 | "to do it"は名詞 |
| 過去分詞は完了を表す | have + 過去分詞は完了を表す |
次の二つの文の "the job"の状態を想像してください。
| 通常の形容詞 | 受身を表す過去分詞 | |
|---|---|---|
| 修飾用法 | happy people | satisfied people |
| S+V+C(V="be") | They are happy. | They are satisfied |
| S+V+C(V="get") | They get happy | They get satisfied |
| S+V+C(V="look") | They look happy | They look satisfied |
| S+V+O+C(V="see") | I want to see them happy | I want to see them satisfied |
「関係節の拡張」で詳しく説明しているこの形容詞が 使われている例を示しておきます。
ここで取り上げる、形容詞節は、"as I thought he was" と "the way I thought he was"のような "as ......”と "the way ....."だけです。
次の表を見てください。
| as I thought he was | the way he thought he was | |
|---|---|---|
| 修飾用法 | the man as I thought he was | なし |
| S+V+Cの主格補語 | He looked as I thought he was. | He looked the way I thought he was. |
| S+V+O+Cの目的格補語 | I did not find him as I thought he was. | I did not find him the way I thought he was. |
| We are one phone call away. It's one click away. We started dancing 30 minutesinto the party. |
「形容詞を修飾する名詞」という考え方に馴染めない人が多く存在します。例えば、He is 20 years old. における"20 years old"は"old"という形容詞が20 years"という名詞によって修飾されているという明白な事実さえ認めることを拒否し続けているのです。多分どこかで「形容詞を修飾するものは副詞である」などといういい加減な知識が邪魔をしているのでしょう。「名詞」とか「副詞」のような文法用語の概念の区分(カテゴリー)、規定がなされていないために、名詞と副詞を無前提に同一区分に属するものとみなしてしまうと、このように明白な事実さえ認めることができない状態になってしまうのです。正しく用語を使うならば「形容詞を修飾する副詞として使われる名詞」と表現すればよいのであって、論理的な矛盾は全く存在しないのです。「イチロー選手は3番バッターでありかつ右翼手である」ということが全く矛盾しないのと同様です。ただし、野球の知らない人ならば「3番打者だから右翼手ではない」等というかも知れません。
He is 20 years old.という文などは、「彼は20才である。」という日本語と単純に比較 し"years old"=「才」などと理解している人が案外多いのです。
「形容詞を修飾する名詞」を具体的に説明する前に、形容詞には次のような種類があることを知っておく必要があります。(詳しくは「形容詞の定義と種類」 参照)
この文と同じ意味に、He is 6-foot .という文がありますが、この場合、"6 feet" ではなく"6-foot"になっていることに注意してください。その理由は、6-foot は 6 feet tallという意味の形容詞だからです。英語の形容詞には複数形はありません。
日本の英語学習者はこの通常使われる表現ではなく、She is taller than I am by 2cm.という難しい表現の方に馴染みがあるようです。繰り返しますが、誰でも知っているような基本的なことは英文法には記載されないことが多く、極論すれば、知らなくてもよい言語の本質にとって重要でない事柄だけが記載されているのです。あまり使われない表現などはやはり知らない人が多いため、文法書にそのことが記載されるのです。このように、誰でも知っていることを知らないから、本物の英語に近づけないのです。
「私達は電話一本分離れている。」ということは電話一本で(お届けいたします。)」という意味なる英語の発想です。コンピュータソフトに関する文などでよくみかける、"It's one click away."「クリックするだけです。」等と同じです。
まず"into the hole" という部分が目的格補語となっている形容詞として捉える必要があります。目的語は"the wire"です。この形容詞が"halfway"という名詞によって修飾され ているのです。 "halfway"の代わりに"all the way",や"3cm"などの名詞を使えば次のようになります。
Insert the wire all the way into the hole.
(ワイヤーを穴に完全に挿入してください。)
Insert the wire 3 cm into the hole.
(ワイヤーを3cm穴に挿入してください。)
この表現も、He is 20 years old.同様よく知られている表現ですが、"20 minutes"とい う名詞が"past 9"という形容詞("past"は前置詞)という見方をする人はそう多くありません。「年令の表現の仕方」、「時刻の表現の仕方」として覚えているだけで、構造的な理解ができていないため応用ができないのです。
「パーティが始まって30分後にダンスが始まった。」という意味ですが、日本人の英語学習者にとって "dancing" と "30 minutes"の間に前置詞のようなものが省略されているような感じがするらしく、「30 minutes の前に何が省略されているのですか?」という質問をよくしているようです。これは、「前置詞+名詞」が形容詞として機能するということを理解せず、英語の前置詞を日本語の助詞(てにをは)のような情報の伝達において補助的な(=無くともよい)機能しかもっていないという、前置詞軽視の態度に由来するものです。このことが理解できていない人がつくることのできない英文に次のようなものがあります。
3 minutes after his arrival, they left.
つまり、"3 minutes"の前に何かが省略されている感じがするらしいのです。たまたま、 「3分後に」等という場合に、"after 3 minutes"という言い方があるため、「彼が到着した3分後」という場合は、全く別の発想で表現されるということなど思いもよらないのでしょう。
The TV = is
The TV = left
The TV = turned
The TV = on
You = come
You = on
You = over
You = in
You = here
1.この合成形容詞を構成する形容詞の中で文末に一番近い、"on"がこの文の基本的 な意味を決定しているということを理解してください。このことは次の二つの文を比較すればすぐに分かることです。どちらが、情報をよく伝えているでしょうか?
2. "in here"という部分を見て、日本の英語の先生方は「"前置詞 "in"の次は名詞でなければならない。」と言って、英米人が実際によく使う英語が文法的に正しくないということを主張しているようです。英語を学ぶ基本は「英米人が使う英語を受け入れ、そのまま使う。」ということです。この基本態度がこの国では崩れてしまって、彼らの英語に文句をいうという滑稽極まりないことが起こっているのです。
日本の英語学習者のほとんどが、"I live in here."という英語を使うことを拒否してい る状態なのです。時々、このことに悩む学習者が、英文法の権威の先生に質問をしても、「文法的なことにはこだわらずに、英会話を勉強しましょう。」のような解答をするだけなのです。このようなアドバイスは「文法的間違いを恐れずに...」というあの陳腐な低 俗な英会話スクールの宣伝文句と同じで、正しい英語を使いたいと思っている者にとっては、"I live in here."を思い切って使えなくなってしまうのは当然です。自信を持って この文が使えるようになるために、"I live in here." という文について 説明しておきます。まず、ここで使われている "in" は「前置詞」ではなく、本書では「通常の形容詞 (b)」呼んでいる形容詞です。次の変形をみれば、この "in"は全く正しい 使われ方をしていることが分かります。
| You insert the paper face up. You can do it hands down. He is wearing it inside out. |
「主語付き形容詞」という形容詞は実は日本語に非常に多い形容詞です。例えば、「色 が黒い」、「背が高い」、「気分が悪い」、「幅が広い」...と無数に存在します。この 「主語付き形容詞」という概念が分からないまま、日本の言語学者は「彼は背が高い。」や「私は気分が悪い。」のような文の「は」と「が」について議論を続けているようです。「が」は「主語付き形容詞」であることを強調する役割があることは明らかです。「強調」という意味は通常の日本語では「は」や「が」などあ使わないで、「彼背高い。」「私気分悪い。」という文が使われているからです。哲学的な素養のない者がこの「は」と「が」に関して「哲学的」な議論を続けることは見苦しい限りです。日本語では区別されないことも、英語などの外国語を使うことで容易に区別できることがあります(外国語を学ぶ主要な目的の一つに母国語をより客観化してみようとすることである!) 英語をを分析することが、日本語を分析することとは決して同値ではありませんが、少なくとも「" 彼は背が高い。"とか”私は気分が悪い。”を英語で表せばどうなるか?」という疑問が 出てくるはずです。"He is tall." I feel sick."という英語と対照させれば、 英語の場合は「背が」とか「気分」などという主語が付いていないものが多いということにすぐに気付くはずです。「日本語とは日本人にしかそのニュアンスが分からない精緻な言葉である」ということを証明しようとすることを意図しているからか、解明してやろうという気力が全くなく、まず外国語で表してみるという言語分析の基本作業さえ怠ってしまっているようです。
《主語付き形容詞の起源》次の二つの文に対して「重ね合わせ・省略の法則」を適用してみましょう。

注)They speak you are ill.(実際には使われていない)
They speak you ill.(実際には使われていない)
They speak ill of you.(この形だけが使われている)